人生には、どの程度のお金が必要なのでしょうか?
もちろん、その答えは人それぞれです。
どのような人生を歩むか、その人生の中身によっても生涯かかるお金は変わります。
一般社団法人全国銀行協会によると、「人生に必要な資金はおよそ2億円」と言われています。
勤務先からの給与やボーナス、公的年金などを加算すると、生涯で手に入れられる収入は平均2億5,000万円とも言われています。
この数字だけを単純に比較すると、人生に必要な資金は足りる計算です。
しかし、冒頭でも説明した通り、人生に必要な資金は人によって異なります。
住宅購入に5,000万円かける人もいれば、住宅を購入せずに人生を終える人もいます。
子供の教育面でも、公立か私立かによっても必要となる資金が異なります。
人生に必要な資金を必要な時期に合わせて、計画的に備えることは非常に重要です。
例えば、将来的に結婚式を挙げたいと考えていても、お金がなくては結婚式を挙げることはできません。
そこで、この記事では具体的なライフプランの立て方や支出の大きいイベントや必要な資金についても詳しく解説します。
ライフプランとは具体的なライフプランの立て方
ライフプランを立てることで、20年後、30年後の未来を具体的に計画できます。
未来を具体的に計画することで、「今何をすべきか」が見えてきます。
ライフプランとは、将来に発生するイベントや夢を一覧に書き出して、それを計画に落とし込んでいくことです。
計画に落とし込むことで、現在の生活を見直したり、目標を達成するための行動を起こしたりしやすくなります。
必要なライフプランは、人それぞれ異なります。
「キャリアアップしたい」「結婚もして住宅を購入したい」「移住もしてみたい」「仕事に縛られずに自由に暮らしたい」など、自分がやりたいことを整理して、これから先の人生を俯瞰してお金や時間のことについて総合的に考える必要がありまつす。
ここからは、具体婷なライフプランの立て方について詳しく解説します。
- ライフデザインを設計する
- ライフイベント表を作成する
- キャッシュフロー表を作成する
STEP:1ライフデザインを設計する
まずは、これからどのような人生を歩んでいきたいかを、次の観点からライフデザインを考えていきましょう。
- 人生の目標や夢はあるか
- 今度どのようなキャリアを積みたいか
- どのような過程を築いていきたいか
これからの人生で成し遂げたい目標や夢が複数ある場合、それらに優先順位をつけることも大事です。
人生について考えると、大きすぎて漠然としてしまいます。
そこで、あらかじめ人生をいくつかをジャンルに分けてみましょう。
「趣味・嗜好」「仕事」「友達・家族」「お金」「健康」「愛情」など、それぞれで自分が実現したいことや夢、目標について書いていき、現在の満足度と理想とする満足度を書き出してみましょう。
ジャンルごとの目標や夢について書き出したら、全体を俯瞰して優先順位を決めましょう。
STEP:2ライフイベント表を作成する
次に、ライフイベント表として、自分や家族のライフイベントを時系列に書き出します。
ライフイベントとは、人生で起こり得る大きな出来事のことです。
具体的には、次のようなライフイベントがあります。
- 就職
- 転職
- 退職
- 結婚
- 出産
- 子供の入学・進学
- マイホームの購入
- 自動車の購入・買い替え
- 子供の独立
「STEP:1ライフデザインを設計する」で設計したライフデザインをもとに、今後自分や家族にどのようなライフイベントが発生するのかを考えてみましょう。
例えば、「夫婦+子供1人」のライフイベント表は、次のようになります。
年 | 家族の年齢 | 大きなライフイベント | ライフイベントにかかるお金 |
---|---|---|---|
2022年 | 夫:30歳 妻:31歳 子:0歳 |
出産 | 出産費用約40万円 |
2023年 | 夫:31歳 妻:31歳 子:1歳 |
- | - |
2024年 | 夫:32歳 妻:33歳 子:2歳 |
- | - |
2025年 | 夫:33歳 妻:34歳 子:3歳 |
保育料 | 年3万円 |
2026年 | 夫:34歳 妻:35歳 子:4歳 |
家族旅行 | 20万円 |
2027年 | 夫:35歳 妻:36歳 子:5歳 |
注文住宅の購入 | 建築費用4,000万円 |
2028年 | 夫:36歳 妻:37歳 子:6歳 |
子供の進学(小学校) | 入学準備費用10万円 |
20234年 | 夫:43歳 妻:44歳 子:12歳 |
子供の進学(中学校) | 入学準備費用10万円 |
このように、ライフイベント表を作成することで、いつ・どれくらいのお金が必要になるのかが把握しやすくなります。
このライフイベント表は、独身の場合や夫婦二人暮らしの場合、子供ありの場合で異なります。
独身の場合は特に、今後の結婚の希望や子供の有無などによっても今後発生するライフイベントは変わってきます。
近いうちに結婚の予定があるなら、最初のライフイベントとしての想定をして表を作成するようにしましょう。
また、結婚しない場合でも、マイホームや自動車を購入したり、退職金をもらうタイミングなども把握しておきたいポイントです。
子供がいる家庭、子供が欲しいと思っているなら、子供の教育費が重要になるでしょう。
子供を公立の学校に通わせるのか、私立の学校に通わせるのか、特に大学入学から卒業までの間はかなりお金がかかります。
大学進学をきっかけに子供が一人暮らしをするようなら、さらに費用も上乗せされるでしょう。
「子供が高校を卒業してから貯金すればいいや」と甘い考えを持っていると、貯蓄がしにくくなり、結果的に貯蓄が足らなくなってしまう可能性もあるので、注意してください。
STEP:3キャッシュフロー表を作成する
最後に、キャッシュフロー表を作成します。
キャッシュフロー表とは、家計の支出や収入、貯蓄などの長期的な推移を表にまとめることで、お金の流れを見える化したものです。
例えば、支出の場合はライフイベントごとの出費、光熱費や家賃などの生活費、固定費、臨時収入などが含まれます。
1円単位で正確に将来の支出を考えることは難しいですが、以下の表のようなイメージで書き出し、年ごとにかかる合計額を計算してみましょう。
項目 | 内容 | 2022 | 2023 | 2024 | … |
---|---|---|---|---|---|
ライフイベントに関する出費 | 結婚費用 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 |
ライフイベントに関する出費 | 出産費用 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 |
ライフイベントに関する出費 | 自動車購入費用 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 |
ライフイベントに関する出費 | マイホーム購入費用 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 |
ライフイベントに関する出費 | 子供の入学費用 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 |
固定費 | 家賃/住宅ローン・教育費・保険料 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 |
基本生活費 | 食費・光熱費・通信費・日用品 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 |
臨時支出 | 医療費・冠婚葬祭費 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 |
支出合計額 | - | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 | ⚪️万円 |
同じ様に、収入についても考えておく必要があります。
この際、額面上の金額ではなく、実際に使える手取り額を金額を記入するようにしてください。
支出と収入の表が出来たら、貯蓄残高の推移を計算します。
例えば、「2022年の貯蓄可能額=2022年の収入額-2022年の支出額」のように年ごとに貯蓄可能額を求めてみるのが良いでしょう。
これにより、今ある貯蓄と将来の貯蓄額で、ライフイベントごとに必要な費用を賄えるのが目で見て分かります。
支出の大きいイベント(住宅購入、教育等)
ライフイベントには、住宅購入や子供の教育など、それぞれ支出の大きいイベントがたくさんあります。
それでは、各イベントごとにどれくらいの費用が必要なのでしょうか?
ここからは、支出の大きいイベントごとに必要な費用について解説していきます。
- 結婚
- 住宅購入
- 出産・育児
- 教育費(幼稚園・小学校)
- 教育費(中学校・高校)
- 教育費(大学)
- 子供の結婚・出産
- 定年退職
- セカンドライフ
- 自宅のリフォーム
- 通院・介護
結婚
人生において大きなイベントである結婚は、多くの費用が必要になります。
大手結婚情報誌「ゼクシィ」によると、結婚費用の総額は平均371万3,000円というデータがあります。
結婚費用の内訳は、婚約・結婚式・ハネムーンです。
一番費用負担が大きいのは結婚式です。
最近では、お金に余裕がないことを理由に身内だけの結婚式や、ウエディングフォトのみなど、簡単に済ませる家庭が増えています。
結婚資金にかかるお金の平均は、約300万円です。
内訳としては、衣装・挙式料・食事代・演出代・会場装飾・お返しなどの費用が含まれます。
結婚式のゲストの数や衣装の着数、挙式スタイルによっても大きく変動するので、目安程度にみてきましょう。
ただし、2人で300万円を用意しなければいけないということではありません。
費用のおよそ3分の2はご祝儀でカバーできるとされており、実質負担は約100万円程度です。
その他諸経費も考えて、150万円~200万円ほどはかかると想定しておくと良いでしょう。
参考:ゼクシィ
住宅購入
住宅の購入は、人生の三大支出とも言われています。
住宅の購入には、とても大きなお金が必要です。
新築か中古か、マンションか戸建てか、注文住宅か建売住宅かによっても必要な費用は異なります。
生命保険文化センターが算出した費用の平均値を見てみると、住宅の平均購入価格は次のようになります。
- 土地付注文住宅:4,400万円台
- 建売住宅:3,600万円台
- マンション:4,500万円台
- 中古戸建:2,600万円台
- 中古マンション:3,000万円台
なお、住宅の購入の際はマイホームの購入費用だけでなく、不動産の登記費用や仲介手数料、火災保険料などのさまざまな諸経費が発生します。
これらもある程度頭に入れておく必要があります。
出産・育児
20代後半~30代になると、出産・育児を経験することにもなるでしょう。
厚生労働省の集計によると、出産費用の平均は約43万円~50万円です。
出産育児一時金により出産にかかる費用の大部分はまかなうことは可能ですが、一時的に窓口での負担になります。
また、帝王切開で出産する場合や、入院日数が長くなるとその分自己負担額は増えてしまいます。
これらの費用をまかなうために、ある程度の貯蓄は必須です。
教育費(幼稚園・小学校)
子供が大きくなり、幼稚園や小学校に通うとなると、教育費がかかります。
教育費は、大きく分けて私立・公立で費用が異なるのが一般的です。
文部科学省の調査によると、公立幼稚園の場合で223,647円/年、私立幼稚園の場合で527,916円/年がかかると言われています。
小学校では、公立で321,281円/年、私立で1,598,691円/年がかかると言われています。
できるなら、子供が進みたい道を選ばせてあげたいですよね。
公立に通うことが多くなると思いますが、子供が私立の学校に通いたい場合に備えて、念のため多くの貯蓄を残しておくのが良いでしょう。
参考:文部科学省|平成30年度子供の学習費調査の結果について
教育費(中学校・高校)
子供が大きくなって自分たちの年齢が40代~50代ころになると、中学校・高校の教育費が発生します。
幼稚園や小学校を比べても、中学校や高校の教育費の方が高いです。
同じく文部科学省の調査によると、公立の中学校では488,397円/年、私立では1,406,433円/年かかると言われています。
高校の場合、公立では457,380円/年、私立で969,911円/が平均です。
また、中学校に進むと習い事なども増えるでしょう。
教育費の他にも、子供の習い事の費用もきちんと貯めておくことが大事です。
参考:文部科学省|平成30年度子供の学習費調査の結果について
教育費(大学)
子供が高校を卒業して大学に通うとなると、さらに多くの費用がかかります。
文部科学省の調査では、国立大学で約50万円/年、私立大学で約80万円/年の費用がかかるとされています。
これまで以上に多くの費用が必要になるので、子供が高校を卒業するまではある程度貯蓄に与通を持たせたいですよね。
年齢を重ねて勤続年数が長くなったりすると、その分年収も高くなります。
しかし、年収の上がり幅には限度があるので、今の内から計画的に将来のために貯蓄しておくことが大事です。
子供の結婚・出産
50代~60代になると、子供が大きくなり、結婚や出産などのライフイベントが発生することが多いです。
子供の結婚式や出産、住宅購入など、支援援助が必要になることも多いでしょう。
無計画な資金援助は子供ののためになりませんが、万が一の時のためにある程度資産に余裕を持たせておきたいところです。
しっかりと計画を立てて試算を形成しておくことが大事です。
定年退職
60代になると、定年退職を迎えて会社からの退職金を受け取る人も多いでしょう。
多くの場合、退職金だけで1,000万円を超えることが多いです。
これまでの貯蓄と合わせれば、結構な額になります。
豊かな老後生活を送るためにも、使い過ぎに注意しましょう。
セカンドライフ
定年退職を迎えてからは、特に大きなライフイベントはありません。
日々ゆったりとした時間を過ごすのも良いですし、これまで子供がいたことによりできなかった夫婦2人で海外旅行にいってみるのも良いでしょう。
セカンドライフを楽しむために必要な資金は人それぞれですが、最近は60歳以降で退職した後も働いている高齢者が多いです。
とても年金だけでは生活できないと感じている人も多く、不安な将来のために十分な備えを確保しておくのが大事です。
老後のセカンドライフを楽しみたいなら、早い時期からの資金計画が重要になります。
自宅のリフォーム
60代になると、家のリフォームが必要になる場合もあるでしょう。
例えば、老朽化が進んだ箇所を補強したり、老後に備えてバリアフリー化したりなどが必要になる場合があります。
自宅のリフォーム費用はマンションか戸建てか、リフォーム内容によっても大きく異なります。
例えば、トイレリフォームの費用相場は20万円~50万円、キッチンリフォームは50万円~150万円、リビングリフォームでは平米あたり0.8~1.5千円程度の費用が必要です。
ある程度、自宅のリフォーム費用についても考えておく必要があるでしょう。
通院・介護
老後生活では、通院や介護費用も必要になるケースが多いです。
公益財団法人の調査によれば、介護の初期費用で平均234万円、毎月約15万円がかかると算出されています。
老後のことは想像つかないと思いますが、意外と費用がかかって大変な思いをしている高齢者は多いです。
資産がないと子供を頼らざるを得ない状況になることもあるでしょう。
このようなことにならないためにも、必要な資金は確保しておきたいところです。
まとめ
生涯かかるお金は約2億円と言われています。
2億円必要と言われても、今すぐに準備できる金額ではありません。
まずは、自分のライフプラン通りの人生を設計するためにはいくら必要なのかを算出し、早いうちから計画的に資産形成をしておくことが大事です。
無計画に進めていると、貯蓄が足りなく計画していた夢も実現しにくいです。
ライフプランはあなたの人生の設計図です。
これを機に、お金との付き合い方について考えてみましょう!